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1日目 ( 8月15日)
ダンス留学初日。受付にくる子どもたちは皆少し緊張しているような面持ちでした。
自己紹介、注意事項の説明を受け、シアター内のツアーを終わらせた後、早速1コマ目、セレノグラフィカさんによる「ダンスをつくる」クラスが始まりました。最初の自己紹介ではどこかまだ距離のある雰囲気でしたが、一緒に身体を動かすうちに一気に仲良くなったようです。学年、性別問わず、みんなが楽しい笑い声や話し声を上げながらクラスに取り組んでいました。「ダンスをつくる」クラスでは、複雑な振り付けは一切なく、歩いたり、跳んだり、回ったり、簡単な動きで作品を作り上げました。途中で取り入れられたポージングの部分では、みんながかっこいいポーズでキめ、大人たちの歓声が上がりました。
お昼休憩の後はポスターに使うアーティスト写真を撮りました。恥ずかしながらも笑顔でパチリ!仕上がりが楽しみです。
2コマ目は「HIP HOP」のクラスです。基本的なステップを教えてもらった後、なんとダンスバトルをやってみました!2チームに分かれ、1ペアずつみんなの前でダンスバトル。慣れないことにみんな戸惑いながらも、堂々と踊り切りました。見ている子どもたちも楽しそうに場を盛り上げていました。その後は短い振り付けを先生につけてもらって踊りました。覚える時間も短かったですが、みんな精一杯踊っていました。ダンスは、「楽しんで」「自由に」踊るものという先生の言葉がよく分かりましたね!
3コマ目は最終発表に向けてのクリエーションの時間です。
動きを繋げていく「動きしりとり」をやりました。動きにどんな意味があるのかを考えたり、その場で出てきた動きを純粋に楽しんだり、楽しみ方はみんなそれぞれで、最終的には面白い振り付けになりました。お互いの振り付けを見合う時間では、みんな我こそはと舞台に上がって堂々と音楽に合わせて動いていました。お次は、動きで会話をしてみようというワークショップでした。相手と違う動きをしたり、同じ動きを繰り返したり、タイミングを合わせたり、わざと外してみたり、さまざまな工夫がなされていて会話が弾んでおり、何を話しているのかなと想像が膨らみました。
2日目 ( 8月16日)
1日目ですっかり仲良くなった子どもたちは、朝からとても楽しそうにお互いに話していました。
1コマ目は小学生のジュニアクラスと、中学生以上のユースクラスに分かれて授業を受けました。
午前中はユースチームはdbで阪神虎舞の方々の指導のもと、伝統芸能虎舞を体験しました。腰を低くして背中を水平にし、腕を前に突き出す基本姿勢にみんな苦戦していましたが、最後に実際に虎の衣装の中に入って動いてみると、みんなとってもかっこいい虎を演じられていました!
ジュニアチームはふたば学舎でセレノグラフィカさんの「ダンスをつくる」クラスです。自分の名前に合わせて手拍子をしたり、足を慣らしたり、最後には名前に合わせて自分だけの「ネームダンス」を作りました!名前から言葉を連想して動きを作ったり、全く関係ない動きをつなげたり、みんな個性的なネームダンスを披露していました。
2コマ目はジュニアクラスとユースクラスを入れ替えてプログラムを実施しました。
ジュニアクラスは虎舞のクラス。3人の講師の元で虎舞の成り立ちや由来を学び、基本姿勢の練習を行いました。みんな手を上げて質問したり、工夫して動いてみたりと積極的に取り組んでいました!
ユースクラスはふたば学舎に移動し、セレノグラティカさん「ダンスをつくる」クラス。6つの言葉(”ゆらゆら”や”落ちる(落とす)”など)の中から4つ選び、自分の身体で動きをつくるということを行いました。中間発表なども行いながらブラッシュアップをしていき、最後は講師が選んだ曲に合わせて1人1人ダンスを披露しました。大人版ダンス留学かと錯覚をおこすくらいの濃密さ。セレノのお2人も一人ひとり真剣に言葉をかけられていた印象です。全員がアクティブに動いていて雰囲気がとても良いクラスでした。
休憩を挟み、3コマ目はyummydanceさんによるジュニア・ユース合同でのワークショップ・リハーサル。本のタイトルからダンスを作ってみたり、誰かの動きに合わせて全員で動いてみたり…といったことを行いました。
その後ジュニアとユースに分かれて本番に向けた本格的な準備が始まりました。ジュニアはみんなでダンスを作り、ユースは動きとセリフをつけていました。それぞれ意見を出しながら進んでいました。
全体ではジュニア・ユース関係なく話したり、一緒にいる姿がたくさん見えて、とても温かい雰囲気のもとで行われていました!!ここからどういう感じになっていくのか、ワクワクが止まりません!
3日目 ( 8月17日)
こどもダンス留学3日目。もうすっかり慣れた様子のみんなは朝から元気いっぱいです!
1コマ目はジュニアクラスとユースクラス合同でアランのアフリカンダンスのクラス。全員でストレッチをした後、レッスンが始まりました。ポイントは大きく踊ること!そして基本姿勢は前のめり!独特な音の取り方をするアフリカンダンスに少し難しさを感じていたようですが、二手に分かれて振付を見合ったり、男女で振付が分かれたり、いろんな方向に向いて踊ってみたり…とさまざまなパターンでレッスンが進んでいました!
2コマ目のジュニアクラスは紅玉さんの舞踏!まずはみんなが寝ているときに見たことある夢について発表。変な生き物になって元の姿に戻れなくなる夢、自転車のブレーキが壊れて事故に遭う夢、空を飛ぶ夢、ナイフで刺される夢、ハチミツに溺れてしまう夢、、、など怖い夢から思わず笑ってしまう夢まで色々な夢が出てきました。みんなの夢を聞いた後は自分の見た夢をダンスで表現してみよう!すぐに思いついて踊りだす子も思いつかず悩んでいる子もいましたが、最後には全員が個性あふれるダンスをみんなの前で発表することができました。続けて舞踏の歩きを練習。アシスタント稲吉さんの真似をしながらみんなで後に続きます!普段の生活では感じることのない頭の上から吊るされているような感覚、全方位から抵抗を感じるイメージで歩きました。振り付けにも挑戦!紅玉さん指導のもとゴロゴロ転がって雷を表現してみたり、隠れてみたり、夕立の中を歩いてみたり、ミンミンゼミ捕まえたり、思いっきり走ってみたり。そして最後はみんなで阿波踊り!楽しそうに個性豊かな踊りをするみんなを見ていると楽しくてあっという間の1時間半でした!
ユースクラスはスタジオ長田教坊さんへ移動し韓国舞踊のクラス。午前中のアフリカンダンスとは打って変わり、”静”な雰囲気の中で行われました。呼吸に動きがついてくること、身長の3倍根を張るイメージ、恥骨と丹田の間を意識することや韓国舞踊のリズムの取り方なども丁寧に教わりながら基礎を学びました。後半は伝統舞踊のほんの一部を体験しました。独特なリズムや使い慣れていない感覚/呼吸、ステップに「分からん!!」と苦戦しつつも、ヘミさんとポイントを確認しながら頑張っていました。最後はヘミさんによる韓国舞踊を鑑賞。全体を通して、先生を見る真剣な眼差しや一生懸命についていく姿をたくさん見ることができました。
本日のクリエーションはジュニアクラスとユースクラスに分かれて進んでいきました。
ジュニアクラスはそれぞれの振り付けを教えてもらい練習!楽しくなってはしゃぎつつ、みんな自分の振り付けを一生懸命に練習していました!振付をもらうだけでなく、どうやったらタイミングを合わすことができるのか?どの順番でやったら良さそうか?自発的に工夫していく姿もあり、かなり密度の濃い時間となりました。
ユースクラスはソロダンスを各自で振付。それぞれが2日目で行ったタスクをもとに考えていきます。そのあとすぐに全員でソロダンスの構成を考えていきました。大人の力を借りながらも、撮った動画を見返しながらさらにブラッシュアップを行なっており、より良いものができていくことに見ていてワクワクを感じました!
最後は全員で、今までパートごとに作っていたものをつなげて発表する作品に近づけていきました。構成がなんとなく固まったことで本番が近いことがより実感でき、楽しみになりました!子どもたちの中にはこれをお客さまの前で見せることを初めて(?)知る人も(なんでや!笑)。覚えることがどんどん増えていっているのに気がついた3日目でした。笑
4日目 ( 8月18日)
早いもので、もう折り返しの日になりました。
午前中は、ジュニアクラスとユースクラス合同でコンテンポラリーダンスのクラスを受けました。バレエと似ているようで全く違う身体の使い方に戸惑っている様子も見られましたが、一生懸命愛さんの動きを真似していました。バーレッスンと簡単なステップをした後、振付を踊りました。ひとつの動きも自分の前後左右、どの空間に向かって身体を開くのかを意識することで、全く違う見え方をすることを学び、子どもたちは自分なりにそれを実践していました。また振り付けだけでなく、舞台に立つ前の心構えも教えてもらい、21日の本番にも活かせそうです。明日のクラスでも続きの振付をいただくそうです。明日も楽しみですね!
2コマ目のジュニアクラスは韓国舞踊。大きな扇を小さな手で一生懸命持ちながら、最後まで踊り切りました!この舞踊は全員でひとつの形を作ったり、息を合わせて一緒に動く振りが多く、子どもたちは最初苦戦していましたが、回数を重ねるごとにぐんぐん一体感が出てきました。小道具と自分の身体を一体化しようと意識することでより綺麗に見えること、最後まで踊り切ること、他の場面でも応用できそうなこともたくさん学びました。ユースクラスは舞踏のクラスです。舞踏における基本的な体の動かし方、「動く」というより「動かされている」感覚、力を入れることと抜くことの対比、今まであまり体験したことのない踊りの形に難しさを感じながらも、食らいついていました。最後には音楽に合わせひとつの作品を作り上げました。1時間半の練習時間とは思えない完成度で、みていて圧倒されました。さすがユースチームです!
3コマ目は本番に向けたクリエーションです。固まってきた作品の世界観と方向性のもと、振りがどんどんと加わっていきます。ソロの振りを考えたり、自分の振りを見てもらってフィードバックをもらったり、みんなで自分たちの動画をみたり、一人ひとりが作品を作る一部となって動いている姿がとても頼もしく見えました!クラスの終わりに、ジュニアとユースそれぞれが、自分たちの作品を今できているところまで披露し合いました。お互いに刺激を受けて、これからもぐんぐん伸びていきそうです。最終発表への期待が高まるばかりです!
5日目 ( 8月19日)
昨日に引き続き午前中はジュニアクラスとユースクラス、みんな一緒にコンテンポラリーダンスのクラスを受けました!
みんな一生懸命に先生の動きを真似しながら身体を大きく使って自分なりの表現をしていました。
初めはぶつかることを恐れてか空間を大きく使えていなかったり、自分の踊りに自信が持てず不安がって誰かのことを見ながら様子を伺って踊っていたりしましたが、愛さんのアドバイスを受けているうちにみんな本領発揮!楽しく元気に、でも真剣に!!わずかな時間で構成しようとする人も出てきたり、あ、そういう工夫をするのね?!面白い!と思える人も。ユースのお兄さん、お姉さんがジュニアの子どもたちをサポートしてあげる場面も、もちろん逆も然りで、たった数日で成長した子どもたちに驚きでした。
午後もジュニアとユース、みんな一緒にクリエーションです!今日は音響さん、照明さん、舞台監督さんなどいつもよりいっぱい人がいます。いつもとは違う環境に子どもたちは少しソワソワしている様子。。。笑
お世話になるスタッフの皆さんにあいさつをして、怪我をしないように注意事項をしっかり聞いてスタートです!
本番同様のステージでの通し練習はもう感動です!!今日までのクリエーションで積み重ねたものを、一人一人が自分の意志で自分を信じて自信を持って踊っていました。不安そうな顔をして踊っていた子どもたちとは思えないほど、生き生きとした顔/姿で踊っている様子に圧巻!作品のクオリティーも上がってきてみんなのやる気もいーっぱい!最終発表がどんどん楽しみになってきました!
当日は感動で大号泣の予感、、、笑 明日もみんなで楽しもー!!
6日目 ( 8月20日)
今日はクラスはなく一日中明日の発表に向けてのリハーサルです。会場に入ると昨日まではなかった客席が組まれており、いつもと違う風景に子どもたちは面食らったようです。明日が本番であることを意識して、練習にも熱が入ります。照明も音響も本番と同じものを使った練習は、みんないつもよりもずっと生き生きして楽しそうです。舞台上にいる子どもたちは、みんな初日と見違えるほど頼もしく、素敵な表現者に見えました!照明や音響で、自分の出るタイミングがわかる!と話していたり、成長した姿をたくさん見せてくれました。
少しジュニアとユースに分かれて練習し、お互いのダンスを見合いました。ジュニアの子たちはユースのお兄さんお姉さんにたくさん刺激を受けていたようです。そして、ゲネプロです。初めて、振付家の声が全く入らない、自分たちだけで踊り切る30分。緊張の面持ちで舞台裏へ向かった子どもたちが照明に照らされ、堂々と舞台上に出てきて感動しました!大きなミスもなく無事最後まで踊り切り、客席で見ていたスタッフからは拍手喝采!大人はあまりの完成度に涙目でした。その様子を見て、振り返りシートに「先生を大泣きさせる」と書いていた子も。笑
それくらいの本番を、明日迎えられることを楽しみにしています!
7日目 ( 8月21日)
さあ、いよいよ本番当日です。最後の練習時間、みんないつも通り元気な姿で取り組みました。
なんと、本番当日ですが振付に小さな変更が加わりました!できるかな?とはらはらしながら見ていましたが、さすがの子どもたちは瞬時に吸収して対応していました。部分部分の練習を少し重ねた後、最後の通し練習。大きく問題はありませんでしたが、気がせっていたのか、少し早取りをしてしまっていたようです。終わった後はみどちゃん、さおちん、マキちゃんから最後のフィードバックです。焦らずに、勢いのあるところとゆっくり丁寧にやるところの違いをつけて、とアドバイスをいただきました。
お昼を大急ぎで食べた後は楽屋で本番前の準備です。ロビーにお客さんが入り、舞台裏で待機している子ども達は緊張の面持ち。「緊張するー!」と話しているジュニアの子どもたち、ユースの子も表情が引き締まっていました。そんな様子を見た後では、客席で開演を待つ私まで緊張してしまいました…。会場が暗転し、いよいよ開幕です。
「緊張する」と話していた子が、いちばん最初に舞台に出てきて、セリフを言います。緊張しながらも笑顔で話している姿にとても感動しました!次々に子どもたちが、笑顔で、堂々とパフォーマンスをしていました。その姿は、今までの練習のどの瞬間よりも輝いていました。ジュニアのパフォーマンスのあとは、ユースのパフォーマンス。ジュニアの子どもたちの明るい雰囲気とは打って変わって、不思議な雰囲気が漂います。ユースの子どもたちも、今までより表現が深まっていて、何度も見ているはずなのに引き込まれてしまいました。最後のジュニアとユース、みんなで踊っている時は、年齢も出身もバラバラな子どもたちがお互いを見ながらニコニコしていて一体感があり、この一週間で本当に仲が深まっていたことが実感できました。終演が名残惜しいほどのパフォーマンス、終わった後は拍手喝采です。拍手を浴びながら立っている姿はプロ顔負けのダンサーでした!
アフタートークでは、この一週間何を頑張ったか、何を感じたのかなどを、お客さんの前で自分自身の言葉で表現しました。いろんなことを考えながらそれぞれ一週間を過ごしていたんだと感心しました。アフタートークの後は子どもたちとみどちゃん、さおちん、マキちゃんとフィードバックです。一人ひとり1週間のコメントと、3人から賞賛の言葉が。最後は客席/スタッフさんに向かって、みんなで大きな声で「ありがとうございました!!!」で締めました。
荷物を片付けて劇場を後にする子どもたちの背中は初日より何だか大きく見えます。また会おうねと声を掛け合いながら、名残惜しいですがみんなそれぞれの家へ帰って行きました。
みんな、ステキなパフォーマンスをありがとう!一週間本当にお疲れ様でした!
レポーター
ダンスボックス インターン生3名が日々書いてくれました。
レポート作成の他に、子どもたちのサポート、クラス付き、写真/動画撮影、子どもたちが書いたレポートの整理、配架チラシの整理、公演受付、、、、などなど、劇場の制作スタッフの1人として色々動いてくれました。また、子どもたちと歳が近いこともあり、「ダンス留学」の中ではお兄さんお姉さんを(必然的に)引き受けていたユースたちの心のオアシスとなってくれてました。
子どもダンス留学 @神戸 2022『何が起こっているの?』
日時:2022年8月21日(日) 14:00開演
出演:子どもダンス留学@神戸4期生
振付:yummydance、伊豆牧子、子どもダンス留学@神戸4期生
演出:yummydance、伊豆牧子
構成:yummydance
この世界には、わからないことがいっぱいだ。
のぞいてみる。
立つ場所によって、見えるものの大きさが変わったり、見え方がかわる。
固いと思っていたら柔らかかったり、
明るいと思っていたら暗かったり、
このダンスに、意味はあるの?
わからない。
わからないけど、カラダが動く。
カラダが動くと、なんだか心も動く。
ちょっと怖くなったり、ワクワクしたり。
わからないことだらけだけど、わからないを楽しむ。
わからないって面白い。
みんなで、わからないわからないと思いながら進んでいったら、どこにたどり着くのでしょうか。
なんなのよなんなのよ
とにかくとにかく進んでみる
そんな気持ちを分かち合ってみれるのかな
あなたやあなたと、
この空間と。
photo : junpei iwamoto