top of page

#1 平原慎太郎×池上たっくん×泰山咲美

NEWCOMER SHOWCASE #1 平原慎太郎作品

クリエーション2日目となる8月24日の夕方、クリエーション終わりにお話を伺いました。

ワークショップの様子

ークリエーションお疲れ様でした。ワークショップ含めて新長田滞在3日目ですが、新長田へ来た感想も含めていかがですか?

平原:新長田は2011年9月に樹里(国内ダンス留学@神戸1期生:西岡樹里)の企画で来ていて、それ以来だったので来るまでは街の事忘れてたんだけど、街を歩くとワッーと記憶が戻ってきて。餃子亭も行ったし、昨日はさんぺいにも行って。すっかり満喫してます。歩行者がおじいちゃんとおばあちゃんがメインっていう。それは、どの地方の町もそうなんだけど。その分、時間がゆっくり流れているのでやることに集中できてるので、そういった意味でもクリエーション満喫してます。

ークリエーション、ワークショップも含めて初めて会う11人ですよね。

平原:そう初めての人たち。はじめまして。(笑)

泰山:はじめまして。(笑)よろしくお願いします。

平原:そうだよ、まだ3日目だよね。馴れ馴れしいな、なんかー。

ー過ごす時間結構長めですよね。昨日は10時から21時まで。

泰山:昨日私、平原さん足で踏みました。

平原:そう踏んでもらって。今日もやってもらおうと思ったけど、さすがに。

ー11人のダンサーはどうですか?

平原:いいところもいっぱいあるし、これからなんだな、ってところもいっぱい見れてて。 一番感じるのはプログラムの一発目なんだなってすごく思います。一番バッターだなって。 だからダンサーのモチベーションも高いっていうのもありますね。

ークリエーションはしやすいですか?

平原:クリエーションは、しやすい。だから、明日で一応クリエーション前半戦、終わりですけど、明日でほぼ素材は渡せると思うんですね。そこまでのスピードは早いし、皆がちゃんとどうにかしようと思って向かってきてくれているんで。それはすごく良いモチベーションだと思う。だから後半の皆のワーク見たいな、って気持ちになっていて。実はクリエーションをやってると「(本番は)これぐらいまでいくな」っていうのはある程度把握していて。でも、それが(振付家が)8人いるでしょう。

8人を経て、どこまでいくのかっていうのは読めてなくて。

なんかの形でぜひ見たいですね。

ー(ダンスボックスが)企画しといてですけど、ハードだなって思います。同じ作品を何度もっていうのはまだしも、これだけ違う作品を月に1本2本上演していくのは。8ヶ月間をダンスのためにあけてくる。心理的にもかなりハードルを越えてきてますよね。

平原:ここ以外の場所と企画で、8ヶ月間ダンスやりましょうみたいなこと、そうそうないよ。多分一生のうちでも限られると思うし、8ヶ月開けてダンスしますみたいなの。 [if !supportLineBreakNewLine] [endif]

ー留学生の二人は平原さんと出会う前と変わったことがあったりとか、面白いことはある?

泰山:それまでと体の使い方とか使う筋肉とか、もうまず別物で、集中の切り替えとかも、しやすかった。初日がワークショップだったんですよ。初日に入り口をひろげてくださっていたので、そこからはいって2日目からぐっと作品に入るぞ、っていうのは入りやすかった。

平原:いい意味で自分の言語で話そうとする人がいない。自分のダンス言語、身体表現言語に置換しようとしてなくて、“入りやすい“って言ってたけど、本当に“入ってきた“んだと思う。 僕が伝えようとしているところに、しっかり入ってきて、受け取るって姿勢ができてる感じがある。プロのダンサーと仕事をする時のネガティブな要素の一つに自分の持っているメソッドとか、自分の持っている身体言語に僕が言っていることを変換して表現するっていうのがあって。皆はそうじゃない感じかな。素直な人が多いです。

ーそれって本当にいいですね!

平原:ただやっぱりこれも自分がトップバッターっていうのはあると思う。いろいろ獲得していく中で、なんか例えば「こうはコンタクトいかないはずだよな」とか「インプロこうはいかないはずだよな」っていうエゴがどっかで出てくるかも。(参加している)振付家が全然違うから。出てきた時に、この状態に戻れるかどうか。

ー平原さんがダンサーとしてクリエーションに関わるときはどうしてます?

平原:僕がダンサーででるときは、その振付家の言わんとしていることを受け取るのに専念します。 自分に任されたパートだけ、自分の身体言語みたいなものを出すようにしてるっていうか。

そうですね。最近じゃ、客演も減り…客演なんてすぐなくなるからね。(笑)

全員:(笑)

ーすごく先かもしれませんけど、誰かの作品に平原さんが出演するっていうのはありですか?

平原:呼んでくれたら。(笑)でも、なかなか呼んでくれないんだよ。

池上:まだ私なんかでは呼べない。(苦笑)

平原:(クリエーション中)超良い踊りしてたでしょ?呼んでくれたら、頑張るよ。

泰山:そうなりたいね。

池上:今回の企画が8名の振付家の作品を踊るっていうことでスタートしているのですが、実際に受けてみると、ワークショップだけでも全然違う。刺激が強すぎてある意味リフレッシュして参加できてるのかな。違いすぎてそこは比べるとか、自分の中で葛藤がなく、リセットして、学ぶっていう姿勢ではいれていますね。

ー平原さんはでもヒップホップから入られて、その後、振り付けなどがしたくてコンテンポラリーダンスをずっとしているんですよね。2人はなに志望ですか?

泰山:私はダンサーとして活動がメインだったんですけど、その傍らソロで小作品のパフォーマンスを続けてきてて。でもまだ、劇場で上演する作品として、人に振り付けるものは作ったことがないので、振付家として作品を作りたいなと思ってます。だから、平原さんの振り付け方やワークを見るときに、どんな方法を使っているんだろうっていう振付家的な目線で見てますね。

平原:そうだね。泰山はね、クリエーションで、僕が「じゃあ、ちょっと休んで。自習してて。」って言って、他のチームの事をやっているじゃないですか。で、すごく自習しているチームもいるんですけど、彼女は僕の方をじーっと見てるよね。

泰山:知ってました?(笑)

平原:知ってるよ!(笑)

泰山:すごい!(笑)オリジナルを作ってるところあるじゃないですか。4人とか5人が舞台上に立っていて紡いでいく感じ。こうしたら、こうしてみたいなのがおもしろいんですよ。システマチックっていうか、わかんないんですけど。感情の部分とはまた別に体がこうなっているから、次こうしたらおもしろいよね、みたいなのが、やっぱりクリエーションって面白いっていうことを感じています。

ワークショップの様子

平原:素晴らしい。(笑)

泰山:どうやってそれができているんやろう、っていうのが聞きたいなって思って。作り方というか。

平原:言語と一緒で、[私]の後にくるのは助動詞がくるっていう、この後は動詞がくるっていう。並び的にあるんだよ、ここは移動するだけで、次はフック(印象に残る動き)で、ここはユニゾンでっていうセオリーみたいなのが自分の中にあって、その違うパターンのと組み合わせていくパズルのような感じで。だから、振りの中にただ歩く部分もあったりするでしょ。ちょっと待っているだけとか。なんかそういう、組み合わせで振付してたりする。もうね、遊びです。

ーたっくん(池上たっくん)は何か感じていることある?

池上:ダンサーを求めている雰囲気にもっていこうとするのがうまいな、って。言葉のかけ方というか、やっててすごく思います。

ー具体的には?

池上:やっぱり「いいね!」とか、「今の間、いいよ!」とか。そういう一言を言うタイミングですかね。なんて言ったか聞こえないっていうのもないし。なんかタイミングが良いので“すっ”と入ってきて。すんなり踊りながら繋げられるなって感じがします。

ー振付家って絶対、褒めない人いますよね。分析はしてくれるけど、いいね、って言わないっていう人。

平原:これは僕の仲間内とか後輩のダンサーには言うんだけど、僕は実は性格が悪いから「“良いね”って、言うところ以外は良くないと思ってね」って。「いいね!」って言うのは「このやり方が良いんだ」っていうのを認識してもらいたいから言ってる。それは覚えてといてほしいの。言われてないなってところは疑ってほしいの。そう言うと疑うところの方が多いでしょ?そこが、じゃあどうしたら「いいね」になるのか、っていう工夫をしていくと、だんだん「いいね」の箇所が繋がっていく訳で。

まだ見えてないものを悪いとは言えない。「いや、これは悪いよ」って言うのは出来上がっているものだったら言えるんだけど。「いい」っていうのはさ、わかるじゃん。今、心が動いた、だからいい、オーケー、っていうのは理解できるから。認識しておいてほしい。そのほうが建設的だよね。覚えておいてほしいのよね。いいねって言われた部分のやり方を。

ーこれは全員に言わないと。

ー今回のクリエーションを通してダンサーに対して考えていることってあります?

平原:やっぱり、どこの部分を僕が上げるかってことにフォーカスしていて。僕が過去の作品をそのままトレースして「みんな踊れたね」でもいいんだろうけど。なんかそれが果たして今回の正解なのかなって思った時に、クリエーションに携わっている経験とあと責任、これは「私が生み出したものなんだ」っていう責任みたいなものをやっぱり伝えたいっていうか。トレースだとやっぱり体型が似ている、動き方が似ているとか、視覚的なチェックで終わる。例えばカナ(国内ダンス留学@神戸5期:越智華奈子)のポテンシャルを見て手の振りの所を選んでいる訳だから自分の意思で立って欲しい、立たされているんじゃない。

その考え方に一発で行ければ、それ以降がいいのかなと思って。 ただ踊れるからダンサーではないと思うんだよね。

ー前回のインタビューで平原さんは同時にテクニックも必要だと言ってましたよね。

平原:僕は甘いって言われるけど、テクニックはダンスやってれば付くんと思うんですよ。ダンス20年やってて側転できない人なんていないじゃないですか。テクニックは20年やれてればついてくるはず。テクニックありきでダンスするのは違うと思う。ただ、そこまで続けようと思っているかどうかの方が重要で、20年続けたいからテクニックを習得するっていう考えが好きかな。「テクニックがあるべき」っていうのは未来を見越しての意味。テクニックなくて20年は踊れないぞっていうのは逆にあるから。やり続けるビジョンがあってテクニックを身につけていくもんだと思う。

ーたっくんは高校生からダンスしているけどどう思う?

池上:今回はダンサーとしての自分のスキルアップしたい、っていう気持ちで参加しているので、ク

リエーションが進んでいき、色々ムーブメントを振付していただいた時に、やっぱりすぐにできなかったり、なにか違うとか、コンタクトとかでは特に感じまして。ワークで肉体を酷使していて、平原さんの“がたい”を見る限り、もっと体を作り上げないといけないんだなってすごい思います。ダンサーとして、平原さんが仰っていた「始めた時から3つ上のダンス力を身につける」っていうのをどれだけ捉えて、体も上げていけるかが大事だなと思っています。同じような形でコンタクトができても、追求していくべきだなと僕は思っていますので、めっちゃ頑張りたいです。

ーたっくんは振付を今までもやってきているし、これからもやっていきたい?

池上:やっていきたいと思っています。ダンサーとの距離感っていうのを大事に作品を作っていきたいなっていう気持ちがあって。大学の部活で、私が作品を作る時は、舞台上ではみんな一緒じゃないか、っていう考え方でトライしてみたことがあったり。部活動特有の上下関係が作品に組み込まれたりしたくなくて。そういう風に作品を作る時は考えていたいっていうのがあって、そういう意味では今回受けて「あ、なるほどな」って感じる部分がありますね。

ー振付家の仕事は作品を作るだけじゃないですもんね。ここの空間でどうクリエーションつくっていくか、クリエーション自体をどう振り付けているか。今、クリエーションはどれぐらい進んでいますか?

平原:シーケンスで言えば、3分の2ぐらいはできてるかな。あとはもう組み立てるのに集中できる感じですね。

ーたいちゃん的(泰山咲美)に今のタイミングで見どころってありますか?

泰山:今回の私、コンタクトが多くて。冒頭からバシッとコンタクトで4人出てくるシーンがあって。そこに選ばれたっていうのはさっき言ってたそれをするっていう責任をすごく感じました。今回のメンバーのために作られているオリジナルのシーンがあるので、全体がつながったとき、どういう印象になるのか、ここはダンサーとして見せ所だなと感じています。あと、思うのは、振付家の目指しているところとか、その世界観のところにいくために、踊り方を追求して、作品の足になったり、手になったりっていう働きができたらいいなっていうのは思っていますね。

池上:僕が今思うのは「一人で踊っているんじゃない」っていうところと、「酔わずに踊る」ことです。自分の中でシャットダウンして、気持ちよく踊るんじゃなくて、周りと繋がって踊っている。例えば、踏まれるコンタクトでも相手に“踏まれる”ことを感じて、それが連鎖して、作品になっています。歩くところだけでもワークショップでしたことは活用されていて。すごい周りを意識しています。

平原:言葉の話が今日出ましたけど、いいワークの現場ってすごく言葉のなんかやりとりが多くて、例えば、会った事はないですけど、フォーサイスのリハーサル見たことあって、そのときもやっぱり声かけてるんですよ。やっている途中で。

中村恩恵さんとワークした時も、ものすごくいろんな例えをつかって、今僕がどんな風に踊っていたのか、丁寧に言葉で伝えてくれる。いい振付家っていうのはいい言葉を使うっていうのは僕の中にあって。すごく気をつけていると、みんな拾ってくれるんですよね。その言葉を。それは感じるし。その姿勢も見せたいというか。(作品を)作りたい人たちに対して、そこは大事だと思うし、結構悩むっていうか、語彙を選ぶ、増したいと思っているので、そういうところを僕もサボらずにやっていけたらっていうのはあります。

#1平原慎太郎振付作品トレーラー

以上、クリエーション最中の対談でした。このようなクリエーション、思考からどのような作品が生み出されてくるのか、ぜひ、本番にお立会いください。

#1平原慎太郎作品の上演は9月2日、19時30分開演です。

ご予約はこちらから。

電話:078-646-7044 メール:info@db-dancebox.org

(編集&写真:岩本順平)

特集記事
最新記事
アーカイブ
タグから検索
まだタグはありません。
ソーシャルメディア
  • Facebook Basic Square
  • Twitter Basic Square
bottom of page